今回はハーフサイズ一眼レフカメラの名機・オリンパスペンFシリーズの中でも露出計を搭載したペンFTの修理です。
近年、デジタルカメラのオリンパスペンも登場して少しややこしくなっていますが、
当店で修理するカメラはもちろん、フィルムタイプのオリンパスペンです。
1963年に登場したオリンパスペンFは
1966年に露出計とセルフタイマーを搭載したペンFT
1967年にペンFTから露出計とM接点を省略したペンFV
が発売されました。
これらペンFはあらゆる機構で独創的な設計をされています。
例えばミラーアップのための動作を通常の上下動ではなく横に開閉させる構造やファインダーのプリズム構成、半月形状のチタン製シャッター幕を回転させるロータリーシャッターがそれです。
特に、露出計を組み込んだペンFTはペンFのわずかな隙間を利用しており見事な設計となっています。
インスタの画像はシャッターユニットをとりはずしたところです。
画像手前の黄金色部品はシャッターダイアルとつながっており、シルバー部品はシャッタースピードを制御する機構です。
奥の縦長の四角の部分が24×18mmのフィルム枠でその奥にあるのがチタン製シャッター幕です。
さて、お預りしたご依頼品はシャッター動作不良がおきていました。
ペンFシリーズでは割と多い故障でミラーアップしたまま戻らない状態が発生します。
大抵は経年の汚れやグリスの劣化などによる動作不良なのですが、まれにテンションバネの破断が起きていることがあります。
今回は破断は無く、清掃とグリスアップで修復することができました。
この複雑な構造を実現したのがペン・シリーズやOM-1の設計者で知られる米谷美久さんです。
ペンFの開発にはかなりのご苦労があったようでご本人の著書【「オリンパス・ペン」の挑戦 / 米谷美久(著)】で描かれています。気になる方は読んでみると面白かと思います。
olympus
penFT
シャッター:メタルロータリーフォーカルプレーン
シャッタースピード:B,1秒~1/500秒
フィルム:135タイプ(ハーフサイズ)
露出計:あり(TTL平均解放測光)