流氷の見える丘12(最終回)

2018年2月 北海道斜里郡斜里町 根北峠より斜里岳を望む

2018年2月 北海道斜里郡斜里町 根北峠より斜里岳を望む

流氷の訪れとともに、オホーツクの寒さは一段ギアを上げるように厳しくなる。プラス温度の海水が氷に覆われてしまえば当たり前に寒くなるのだ。

流氷が来ているこの時期は天候が落ち着きやすい。

かすかな春の訪れを予感させることもあり、地元では流氷期と呼び、オホーツクには四季ではなく五季あるという人もいるようだ。

この時期のオホーツクは美味しいものが少ない。何せ海が閉まっているため漁ができないし、当然野菜も地産ではない。それでも多くの観光客を満足させる流氷パワーは恐るべし。

多くの観光バスが国道を行き来し、流氷の上で体験ツアーにはしゃぐ人たちを見ると、なんだかこっちまで嬉しくなってくる。自分の好きなモノやコトを実際の現場で共感できるという事は、実はとっても大切で素敵な事なんだと最近思っている。

なんだか簡単なことに今更気づいて恥ずかしくもすっきりした気分だ。

2018年2月 北海道上川郡弟子屈町 屈斜路湖畔

2018年2月 北海道上川郡弟子屈町 屈斜路湖畔

少し前の話を

2016年2月、網走へ引っ越す際に家を探す条件は海がすぐ見られることだった。

玄関を出て30秒、歩いてすぐの遊歩道から海が見える丘の上。2月は流氷で埋まり、天気が良ければ知床連山も綺麗に望むことができる場所に、いま住むアパートは建っている。

海辺の街に住むのは網走の大学を卒業後に働き始めた静岡県の原発のある街以来だった。

写真を始めたのもその頃で、当時は露出計のないPENTAX67にポジを詰めてデタラメに撮っていた。ファインダーを覗けば違う世界が広がっていて、心をそのまま投影できる気がして夢中になっていたのを覚えている。社会人生活にうまく馴染めなかったその心にあったものが網走の光景だった。

でも、写真に思い出は写らない。どれほど思いを込めても目に見えないものは写りはしない。

だからこそちゃんと撮っておきたいと思った。自分の好きなもの、感動した瞬間を、それが他の人から見たらヘンテコで偏っていたとしても、今を撮るしかないのだ。

2018年2月 北海道斜里郡斜里町 ウトロの海岸で流氷ウォークをする人

2018年2月 北海道斜里郡斜里町 ウトロの海岸で流氷ウォークをする人

そして今は

小さなベンチに座り、缶コーヒーをちびちびと飲みながら遠くを眺めている。流氷の見える丘から海を見渡しボーッとする時間が好きだ。

ときどき難しく考え事をするが、海を見ているとまぁいっかと思ってしまうから不思議だ。

確かなのことは、いま道東で撮っているというだ。それは変わらない。

この場所を無視してしまっては、きっとこれから先には進めないだろう。大事な忘れ物をとりにきたような、それがないとスタートできないような気持ちだ。

もう少ししたら流氷は姿を消し、また春夏秋と季節は巡っていく。季節とともに流れる時間の中で生きていくことを楽しみながら、もうしばらくは道東で撮り続けたいと思う。

2018年2月 北海道網走市つくしヶ丘 自宅前の遊歩道から望むオホーツク海の流氷

2018年2月 北海道網走市つくしヶ丘 自宅前の遊歩道から望むオホーツク海の流氷

生まれた場所ではないけれど、縁あって暮らしているこの土地で、いま写真を撮れていることが嬉しい。いつかまたここを離れるときが来たとしても、撮った写真が時間も場所も超えて僕をこの丘まで連れて来てくれる。

そんな風になればいいなと思っている。

写真家・松井宏樹
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流氷の見える丘11

網走の積雪が非常に少ない。

降雪自体少ない上に、降っても溶けてすぐになくなってしまう。道路はアスファルトがむき出しのままで運連しやすいが、なんとも寂しい限りである。

1月下旬には東京では20数センチの雪が降り、SNS上には雪にはしゃぐ人たちが溢れていた。

交通機関がマヒして大変そうだなと思いながらも、雪の少ない網走から羨ましく見ていた。

雪が降らなければ冬ではないと道民は言うが、まさしく短い冬を惜しむようにSNSには雪だるまが溢れ、みな季節を楽しんでいるように見えた。

1月11日、特に予定もないのでフラリと知床ウトロ方面へ足を伸ばしてみた。夏はよく撮影や釣りに行く場所だが冬は少し足が遠のいていた。

天気は良いが低気圧が近づいていて、ウトロへ向かう海沿いの道路には、冬の日本海を思わせるような波飛沫が飛んできていた。

2018年1月 北海道斜里郡ウトロ町

2018年1月 北海道斜里郡ウトロ町

ふと左前方を見ると白い一帯が見える。白波より大きく、物体というより一帯という方が合っている気がする。まさかと思って慌てて近づくと、まさかの流氷だった。

オホーツク海に流れ着く流氷は、アムール川から流れ、海流と風によって日本まで流れ着く。アザラシやオジロワシ、キツネなんかもこの流氷に乗ってシベリアから道東まで渡るらしい。

今回のものは流氷本体ではなく、小さな破片が低気圧の影響で「はぐれ流氷」として流れ着いたものだったが、それでも1月に見たのは初めてだったし、畳より大きい氷の塊がびっしりと海岸に打ち寄せられている光景には心躍るものがあった。

2018年1月 北海道斜里郡オンネベツ はぐれ流氷

2018年1月 北海道斜里郡オンネベツ はぐれ流氷

2月になればきっと海一面に広がる流氷が見られるはずだし、今年こそは流氷ウォークを体験してみたい。観光で来る際は絶対にオススメする知床の名物だ。人が海の氷のうえではしゃぐ姿は日本広しといえどもここだけだと思う。

あいかわらず季節の移り変わりを楽しんでいて、春夏秋冬をはっきり感じられる場所で生活できていることが嬉しい。人が生きるうえで大切で些細なことを感じながら写真にしていけたら最高だ。

2018年1月 北海道網走市大曲 スケートの練習で椅子につかまりながら滑る子供

2018年1月 北海道網走市大曲 スケートの練習で椅子につかまりながら滑る子供

もうすぐ移り住んで2年が経つが、まだもう少しはここで写真を撮っていたい。何がそうさせるのかわからないが、まだまだ見ていないものがあるはずだし、もっと見たい。その感動やきらめきの記憶を記録していきたい。

それに共感してくれる人がこの世界にはきっといるはずだ。

暮らしているアパートのある丘から流氷が見えるまであとわずかだ。

2018年1月 北海道網走市能取 ワカサギ釣り

2018年1月 北海道網走市能取 ワカサギ釣り

写真家・松井宏樹
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流氷の見える丘10

12月に入ると日に日に寒くなり、夜間は-10度を超える日も多くなってきた。雪が降れば雪掻きをし、氷の道を歩くにも細心の注意がいる。暮らしているものそれぞれが、生活することに気を遣い厳しい冬を過ごしている。

こどもは雪が降れば空き地を駆け回るが、犬は寒すぎて見当たらない。

2017年12月 北海道常呂郡佐呂間町 凍った川の上に丸くなる白鳥

2017年12月 北海道常呂郡佐呂間町 凍った川の上に丸くなる白鳥

年の瀬のそわそわした空気と凛とした深い静けさとが混ざり合う年末は、独特な雰囲気でなんとなく高揚する。

木には雪が積もり、小さな川や湖が凍りはじめ、大地から音がしだいに消えてゆく。

撮影に出かけてもシーンとした場面が多く、GF670の静かなレンズシャッターがはっきり聞こえるほどだ。これからの時期のこの静けさは大好きで、何も音がしないところでのおにぎりとお茶など、至福のひとときだ。いつまでも浸っていたいぬるめのお風呂のような包まれる感じは、ぜひ体験してもらいたい。

2017年12月 北海道標津郡標津町 天然記念物オオワシ

2017年12月 北海道標津郡標津町 天然記念物オオワシ

さて、今回はせっかくの年末なので、個人的なこれまでのことを少し振り返ってみたいと思う。

2016年の2月に網走に移り、もう少しで2年になる。来た当初は久しぶりの北海道生活に気分が上がっていたし、思う存分撮影ができると期待を膨らませていて、今思えばちょっとしたハイ状態になっていたように思う。

さすがに2年近く暮らすと慣れというか感動が希薄になりがちだが、それは心も体もこちらに順応し浸透してきたからのように思うし、そうあるべきだと感じている。通過者ではなく暮らすものとして写真を撮るということはやはり相応の時間がかかるし、そのための覚悟も必要だと、最近はようやく実感できてきた。

思い返せば被写体(取ろうとする場所)に身を置いたのは初めてのことで、以前東京で暮らしていた頃は作品を撮ろうとカメラを持ち歩いた記憶はほんの数回だと思う。

写真家なら常にカメラを持てという方もいて、確かにそれは正論だけれども、それはひとそれぞれ向き合うものが違うのだし、ONとOFFがあってもいいと思う。話が逸れてしまったが、とにかく当時の僕は東京でカメラを構えることがなかった。それは撮る気がなかったということではなく、何も面白くなかったからだと思う。

街を歩いていても、電車に乗っていても、安い居酒屋で酔っ払っていても、生きている感動を感じることはなく、常に道東の影を追い求めながら生きていた。

メガシティ東京の中で生きることが、本当に望んでいることとは到底思えなかった。

写真を撮る人にはそれぞれに向かい合っているものがあると思う。それはその人の生い立ちや思想、影響を受けた人、場所などでそれぞれ異なるし、それが現れるから写真は面白いと思える。その人となりが見える写真は強く美しいし、見る人を引き込む。

2017年12月 北海道網走市つくしが丘 除雪された雪でかまくらを作るこども

2017年12月 北海道網走市つくしが丘 除雪された雪でかまくらを作るこども

住む場所を変えることで簡単にそうなるとは思えないが、自覚を持てたことは一歩成長なのかなと思っている。少しずつではあるが、写真にそれが現れてくれたら本当に喜ばしいことだ。

さて、網走に再び戻ってこれたのは、自分の意思と周りの助けであることは間違いないが、これから僕はどうしたいのだろうか。

北海道で一生暮らすことは無いと思っているが、暮らしたいとも少し思っている。けれどきっとこのまま暮らしていたら止まってしまいそうな恐怖感がチラチラ見え隠れしている。やはり東京から道東へ来たように、道東からどこかへ行くべきなんだろう。ただ、どこに行っても追い求めるものは今と変わらないだろうし、この道東が僕のベースとなることは間違いない。

今もこれからも目の前に向き合っていくしかないのだろう。

来年もあれこれ考えたりしてしまうだろうけど、元気に健康に写真が撮れることが結局一番大切なんだろうなぁ。

2017年12月 北海道網走市網走港第4埠頭 氷点下の中釣りをする市民

2017年12月 北海道網走市網走港第4埠頭 氷点下の中釣りをする市民

写真家・松井宏樹
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流氷の見える丘9

2017年11月 北海道斜里郡斜里町

2017年11月 北海道斜里郡斜里町

札幌の方では例年以上に積もっているというのに、オホーツク地方では降っては溶け、降っては溶けを繰り返し、とうとう根雪にならず12月を迎えそうだ。

昼間溶けた雪が日没とともに凍りだし、スケートリンクのような道路が出来上がる恐怖の季節は、毎年憂鬱で仕方がない。

スタッドレスタイヤで磨き上げられた路面は、磨りガラスのような怪しい輝きを放ち運転手のスタミナをじわじわとすり減らしてくる。
一度滑ったら即終了の運転は肩も凝るし心もすり減る。いっその事とんでもないくらい雪が降ってくれればいいのにと、降雪の少ない道東の初冬を憂いている。

網走に住んでいると言うとよく、寒いでしょ?とか雪すごそうだねとか言われるが、実は海沿いの網走は内陸に比べ気温も降雪もさほどではなく、豪雪地域とは言い難い。山も低くスキー場が小さいため、冬の観光といえば2月の流氷が一大イベントになる。それまではこれから来る長い冬を耐えるために、街中がひっそりと準備をしているようだ。

2017年11月 北海道川上郡標茶町

2017年11月 北海道川上郡標茶町

11月初旬に山道でスリップ事故を目撃してしまってから、すっかり遠出の撮影にビビってしまっている。なんでもないように見えたT字の交差点で、凍った下り坂の一時停止を止まりきれず3台の車が脇の薮に沈んでいた。

このままビビったままでは去年の二の舞だと感じ、夜中ホームセンターの凍った駐車場で密かに車を滑らせてはコントロールする練習をたまにしてみたりする。大学生に戻った気分だ。

もちろん紙コップに水を入れていたり、豆腐を積んでいたりはしない。あくまでもしもの場合のためで、本当は滑らないスピードで走るのが一番なのは知っている。

2017年11月 北海道北見市留辺蕊町

2017年11月 北海道北見市留辺蕊町

そういえば、東京で暮らしていた時は夏でも冬でも同じようなを履いていた気がする。1年中スニーカーを履いていたし、ちょっと寒くても厚いソックスを履けば間に合っていた。ところが気温がマイナスになり雪が降ってくるとそうも言ってられない。雪国の冬靴問題が発生する。

そもそも、若い頃(10代、20代前半)には暖かい靴を履くという考えすら浮かばなかったし、くるぶし丈のソックスで雪が入っても平気なほど気力があった。
しかし近年真冬でも暖かくて雪にも濡れない万能靴が多くなってきたのだ。

一昔前は裏地のついた防寒長靴が多く、皆一様に現場監督スタイルが多かったが、今ではアウトドアブランドの高性能シューズが主流で、観光の人も地元の人もオシャレ化が進んでいる。

僕はといえば、御多分に洩れずその暖かさと快適さに甘えきっていて、冬は生活にも撮影にも毎日のように履いています。

冬に雪国へ観光、撮影等行く際はタイプ別に分けたほうが無難かもしれない。

主に乗り物を使って移動し、歩行は散策程度の方は紐無しブーツタイプがオススメ。僕も普段の生活にはこれです。
なんといっても着脱が非常に簡単で軽くて歩きやすい。新雪の中をズボズボ歩かなければまず濡れることもないです。
最近はくるぶし丈のちょっとオシャレなものが出ていて、正直真冬の東京などでも大活躍。ただ、人気が高いので他の人とかぶりやすく、特にノースフェイスは二人に一人は履いているのでそこだけは難点かも。

撮影重視の方は歩行生も兼ね備えた紐付きタイプになりますが、登山でもしない限りはハイスペック登山靴は要りません。
歩かなければ正直観光用でもいいくらいですが、積もった雪の中もざくざく歩く方にはKEENの【WINTERPORT Ⅱ】が超おすすめ。

僕も撮影の時はこれを履いていますが、これ以上の靴無いかも…と思うくらい快適です。履き口がゴム紐で絞れるので雪が入らず、暖かくて着脱も容易にできて歩きやすい。

僕はスパッツ、ダウンパンツをブーツの中にインして、防水のカッパを履いて裾のドローコードで靴を覆って履いています。

撮影時の靴はかなり重要な要素になると思うので、ケチらずに用途にあったものを吟味するのが良いかと思います。

来月こそは真っ白な世界で撮影出来るといいなぁ…。

2017年11月 北海道川上郡弟子屈町

2017年11月 北海道川上郡弟子屈町

写真家・松井宏樹
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流氷の見える丘8

10月半ば、季節外れの台風に便乗して初雪がやってきた。積もるまではまだもう少しかかりそうだけど、街のあちこちでスタッドレスタイヤに履き替える光景を目にすると、また冬が来るんだなと気持ちがすっと切り替わる。

道東の10月、11月は観光地的に言うといわゆる閑散期になると思っている。

グンと寒くなり始めるが雪は降らず、風が強くなってきて天気も安定しない。

例外的に言えば、鮭釣りを目的としている人たちにとってはお祭りシーズンのようなもので、浜辺に1か月以上テントを張る人もいるが、それはごく一部だ。

2017年9月 北海道網走市 自分で釣り上げた鮭

2017年9月 北海道網走市 自分で釣り上げた鮭

自宅の前から流氷が見えるのはまだ3か月以上先の話だけれど、深まっていく季節に心構えとともに身支度も整え始めなければいけない。

夏から秋冬に移行するこの季節はとにかく温度差が大きく服装に困ってしまう。日中はシャツ、夜はフリースにダウンみたいな日が多く、汗をかかずに寒くない格好は意外に難しい。

僕は機能性下着のちょっといいやつ(ユニクロじゃなくてアウトドア用のもの)の上にフリース、厚めのナイロンジャケットが氷点下以上の条件なら動きやすく、風が強い時は薄手のダウンを携帯してます。多分東京や関東周辺の冬の撮影にちょうどいいくらいかと。

下は中綿入りのナイロンパンツ(防風だとなおよし)で寒ければ機能性下着、車中泊時はダウンパンツを履いてます。

基本的に海岸や野山をフィールドとしているのでアウトドア的な装備ですが、北海道のこの季節は本当に気温の差が激しく寒いとどうしようも無いので、かさばらずレイヤリングできる服装での撮影をオススメします。間違っても南極探検隊のようなでっかいダウンジャケットは真冬でもオススメしません。応用が利かず、車内や建物の中で汗かいて風邪引きますよ。

2017年10月 北海道北見市 牛舎の前のヤギ

2017年10月 北海道北見市 牛舎の前のヤギ

今年も白鳥がだんだんと渡ってきていて、収穫を終えたビート畑(砂糖ダイコン)で地面を突っついているんですが、小清水町のよく通りかかる農道脇にいつも二羽で仲良くいるタンチョウ(7月くらいからずっといる)が、白鳥の出現のせいか畑の隅っこの方に追いやられ、こそこそと餌をついばんでいました。

近くで見ると何気にでかくていかつくて鳴き声も大きい白鳥が群れできたらそうなるよなと、ちょっと可笑しかった。

2017年10月 北海道阿寒郡鶴居村 放牧された白馬

2017年10月 北海道阿寒郡鶴居村 放牧された白馬

来月の末にはきっと道路は凍結して真っ白い世界になっていると思います。写欲が湧いてきます。

相棒のGF670も調子いいし、北海道の撮影バンバンしてきますー!

追記:GF670のコマ間が狭くなる現象ですが、ヨコタ店主からアドバイス頂いて、丁寧に巻き上げをするようにしたら直りました!というか、逆にかなり広くなりました。つくづく急いで撮るカメラじゃないなと思った次第です。

写真家・松井宏樹
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写真展開催のお知らせ
松井宏樹写真展「DOTO 3」

本展では2017年5月から9月までに北海道東部で撮影した写真を展示いたします。
また、展示にあわせまして写真冊子『DOTO 3』を刊行いたします。
『DOTO 3』 ¥500 240x180mm / 32p / 中綴じ製本 / 100部 / PINE TREE BOOKS

日時:
2017年11月4日(土)、5日(日)
13:00~19:00

会場:
オホーツク・文化交流センター
〒093-0072 北海道網走市北2条西3丁目3番地
TEL:0152-43-3704

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流氷の見える丘7

北海道の短い夏はあっという間に過ぎ去り、9月になるとあっけないほど簡単に寒くなっていく。朝晩の冷え込みも1桁になるので、簡単な暖房を入れ始めました。

四季がとてもはっきりしているため、ぼやっとしていたらあっという間に季節に置いていかれる。日々の生活にそれを感じて楽しむことができるのは、生きる喜びの一つに思います。

おそらく11月に初雪が降るので、気軽に撮影に行くのもあと1,2か月。そこからはまた半年近く雪景色の中での撮影と思うと楽しみでもあり、運転を考えると気が重くなる。

2017年9月 北海道網走郡津別町 木材加工工場の見える集落

2017年9月 北海道網走郡津別町 木材加工工場の見える集落

ここ最近、知床峠の紅葉もそろそろ見頃を迎えているようなので撮りに行こうとか、空の色が秋特有の淡い感じになってきたとか思うけれど、モノクロ詰めてるからなぁと色に対してそわそわし始めている。

もともとカラーフィルムで撮っていたし、網走の自宅にもカラー暗室があるのでいつでもカラープリントができる環境は整っているので、モノクロの撮影が一区切り(いつになるかは未定ですが)ついたら中判でカラーフィルムで撮ろうかなと。

僕の暗~いモノクロプリントでは、北海道の美しさは全く伝わらないのは自覚していますが、ここではいましばらお付き合いお願いします。

北海道へ撮影に来られる方は、中判カラーが絶対オススメ(ここを見る方は大半がフィルム撮影だという前提で)します。

2017年9月 北海道網走市美岬 アキアジ(鮭)釣り

2017年9月 北海道網走市美岬 アキアジ(鮭)釣り

ところで先日購入したGF670ですが、一般ウケが非常にいいです。鮭釣りしてるおっちゃんの近くで撮影してると、「フィルムかい?」とか「珍しいもんぶら下げてるな~」とか言ってすぐ距離が縮むし、蛇腹を見たことのない子供にはデジカメよりハイテクで魔法のカメラに見えるようです。

軽くてどこでも持っていける中判なので、旅写真好きには超おすすめです。

ただ、たまにシャッター切ってもフィルムが回らずに強制二重露光になる時があって、ちょっとイラッとする時が。コマ間も安定していなくて現像後のカットがしづらいのもマイナスだけど、
OHで治るのかな?

フジは寒さに弱いと聞くので、網走の真冬を耐えられるかがとても心配(大丈夫なら雪山撮影だ)ですが、そんな体験ができるのも北国の面白さかもしれないです。

2017年9月 北海道標津郡標津町 根北峠を麓の農道

2017年9月 北海道標津郡標津町 根北峠を麓の農道

写真家・松井宏樹
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流氷の見える丘6

8月に入りオホーツクにも観光最盛期がやってきた。網走の道の駅は連日車中泊の車がぎっしりで、日中は道外ナンバーも多く非常に賑わっている。

お盆シーズンには家族連れ、バイカー、自転車旅人、外国からの旅行者などが一斉に知床を目指して遡上します。僕も11~14日までウトロのキャンプ場に行きましたが、すっごい人。高級なテントとタープがばんばん立ってて、次から次へと人がおしよせてくる。
やっぱどこにでもキャンプ好きはいるもんだなと感心しました。

2017年8月 北海道斜里郡斜里町ウトロ 国設知床野営場

2017年8月 北海道斜里郡斜里町ウトロ 国設知床野営場

ただ、人が多いのが嫌な人や、お盆を外して休みが取れるなら是非そうした方がいいと思います。

知床のウトロにはスーパーがないので、基本的にコンビニが調達のメインになりますが、常に品薄でトイレもすっごい混む。お盆だけ日帰り入浴お断りのところもある。

これがお盆を外すとどこのキャンプ場もガラガラ(金、土はそれなりにいる)で静か。静かだから鹿や狐も寄ってくる(鹿はマダニ、狐はエキノコックスを媒介するので触ったりしないように)。外せるなら是非お盆の前後で。

知床のキャンプ場の朝晩は10度前後まで冷え込むので、薄手のダウンや暖かいパンツが必須です。

お盆を過ぎて思い出すのは…

北海道、特に道東方面は台風がほとんど来ず、住んでいる人の災害意識は高くありません。実際、今年2017年もまとまった雨はほとんどなく、安定した天気と気候で非常に心地いい季節が過ぎていて、去年のことを忘れてしまいそうな気がする。

昨年2016年の8月に来た4つの台風被害は凄まじかった。川、道路、畑、線路、変わらないと思っていたものがあっという間に流されていった。
収穫直前の玉ねぎは地形ごと何処かへ流され、日勝峠はまだ崩れたままだ。

日本は災害大国だと自覚はしているけど、被害を目の当たりにするとどうしようもない気持ちで苦しくなる。そして写真には何ができるのかと毎回考えてしまう。
写真は基本的に記録のメディアなので、撮ったものは全部歴史になりうると思っています。それが風景だろうと個人的な趣味事だろうと、家族の記念写真でも建物でも、なんでも。時間が勝手に歴史にしてくれるから、ばんばん撮るべきだと思うし、そう思っているから僕は撮っています。
北海道の道東が好きだから、好きなものが思い出として消えないように撮っているのです。

だから、ふと何気なく撮ったものでも、今は無きかつて光景になってしまうことがこれから先まだ待ち受けていると思うと、気が重くなる。

形あるものはいつか無くなる、それは仕方がないことだけど、悲しいことはできることなら起きないでほしいと願うばかりです。

最後に

先月購入したFUJI GF670の1ヶ月使用レビューを少し。

8月の撮影は全てGF670で行いました。撮影本数はブローニー120のコダックT-MAXを30本ほど。

このカメラ、以前まで使用していたPENTAX67Ⅱ + 90mmの重さの約1/3しかなく、非常に軽く(中判としては)蛇腹でレンズを収納できるため薄い。リュックはおろか、小さめのショルダーバックにも難なく収まるコンパクトさで、重さ、大きさで諦めていた撮影フィールド(釣りや雪山など)にも携行できそうです。

描写ですが、PENTAXと比べてかなりシャープで繊細な気がします。甘さが少ないというか、立体感がアップした感じ。
非常に綺麗で暗室作業が楽しくなること間違い無し。ペンタはポートレート、GFはスナップや風景にあってるかも。

ただ、ちょっと気になるのが、PENTAX67と比べてネガの画像が2,3mm大きいです。ネガキャリアよりほんの少し大きいくらいなので間違いなく大きい。別に問題はないけど気になりました。

ファインダーは非常に見やすく気持ちいい。ピントも合わせやすい。ただ、絞りリングがちょっと操作しづらい(慣れてないだけかも)。
でも、もともと忙しい撮影をするならこのカメラ選んでないので、全然問題無し。

このカメラで一番ネックに感じていたのが、レンズフィルターを取り付けたままレンズを収納できないところでした。これで購入を渋った方も多いのでは?僕もしばらく(2年くらい)ネックに感じて悩んでました。が、見つけました!

【ACMAXX LENS ARMOR Multi-Coated UV FILTER  Fuji GF670 Pro camera】

長ったらしい名前ですが、オークションサイト『セカイモン』で見つけたこのフィルター、簡単に言うと枠のないガラスだけのフィルターを両面テープではっつけるやつで、コンパクトデジカメ用なんかも結構出てるフィルターです。アメリカからの取り寄せでお値段約9,000円…結構する。

なにやらUVフィルターでかなり頑丈な強化ガラス使ってるようです。今の所問題ないです。

でもこれ、フィルター本体が直径35mmくらいで、ぴったりサイズなんですが、40.5mmのフィルターの枠外して3Mの剥がせる両面テープ貼っとけばいいのでは?耐衝撃も見た目も悪いかもだけど、だいぶ安く、画質は上がる気が。

そのあたりはヨコタカメラ店主に相談してみようかな。

決して安くはないカメラですが、次もこれでいいかなと思えるくらい総合的に買って大満足のカメラでした!

2017年8月 北海道網走郡鱒浦

2017年8月 北海道網走郡鱒浦

写真家・松井宏樹
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流氷の見える丘5

日本各地でクマによる事故が多発しており、ここ網走周辺にもヒグマの目撃情報が日々流れてくる。最近では黄色に色づいた小麦畑の中を疾走するヒグマの動画(家から10km以内の場所)がTwitter上に流れてきてビビっている。

普段生活しているに分にはさほど影響はないが、写真を撮りにあちこち出かける身としては、やはり無視できないし何よりこわい。山の中でなくても油断できないのだから、ファインダーを覗く時も気を張って撮影している。

北海道観光の最盛期を迎え、北海道に写真撮影に来られる方も多いかと思います。特に道東、知床方面は、もはや日本では無いような自然景色や、昔ながらの家屋も多く残っていて、写真を撮るには最高だと思います。今時期だと、満開のジャガイモ畑やフッサフサの金色小麦、タンチョウもまだ見られるかな。来てみないとわからない北緯44度の独特の雰囲気が広がっています。

2017年7月 北海道網走郡小清水町 畑を歩くタンチョウ

2017年7月 北海道網走郡小清水町 畑を歩くタンチョウ

ただ、知床=世界有数のヒグマ密集地域での撮影はそれなりの心構えと準備も必要。

まず、クマがいることをちゃんと意識して行動する。当たり前のようだけど旅先では油断しがち。山道の路側帯に車を止めて、ちょっと散策程度でもクマ鈴くらいは持って行って欲しいし、できればクマ撃退スプレーがあればかなり安心できます(クマ撃退スプレーは飛行機に持ち込めないので宅急便で送るか現地調達)。スプレーを持ってる持ってないでは、安心感が桁違いです。

短パンはお勧めしません。特有のヤブ蚊(茶色のでかい蚊)に刺されるとボッコリ腫れてめちゃめちゃ痒い。藪のなかには脳炎が怖いマダニもいたりします。

実際、そんなアウトドア系の撮影しないよっていう方も、予備知識として頭にあると意外と役に立つかもしれません。なにせ、地域全体が自然のなかに包まれているので。

9月半ばまでは気温も天候も安定しているので、北海道はまさに天国。この時期の撮影は最高ですよ~

最後に私事ですが、この度新品の中判フィルムカメラを買ってしまいました。FUJIFILM GF670

7月後半に届いたので、撮影画像は来月のこのブログで。今月まではPENTAX67Ⅱでした。重いけど愛着のある良いカメラですが、しばし防湿庫へ。
写真家・松井宏樹
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流氷の見える丘 4

2017年6月 北海道目梨郡羅臼町

2017年6月 北海道目梨郡羅臼町

 

北海道には梅雨が無い、というのはウソな気がする。雪が溶けて春になったかと思い安心できるのは大間違い。6月はとことん天気が安定しないのだ。

最高気温30度近い次の日に、5度くらいになりストーブを焚く日もある。雨もよく降る。観光客の人がブルブル震えながらツアーを回っているのを見かけるとなんだか申し訳ない気持ちにもなる。

ただ、天候が安定しないからといって家でゴロゴロしてるわけにもいかないし、撮影したいので車を走らせると、あちこちに霧が出ているのを見かける。

気温がぐっと下がった天気のいい日なんかは、あたり一面真っ白になっていて、見慣れた景色も新鮮に見える。倦怠期のサプライズ的なものだろうか。
知床峠が真っ白になって運転が怖かったときは、わずかに見える後光のような光が穏やかで、あの世に来ちまったのかと思った。

まぁ、自然現象を楽しめるのはまだまだ心が健康な証拠だし、それにつられてバシバシ撮らされちゃってる自分はこの場所を楽しめてると思うので良しとしよう。

ところで、6月は本当に釣り運が無く、せっかく友人がボートを手に入れたので、屈斜路湖でのトラウトフェスティバルや能取沖のジギングで鱈、ホッケ、あわよくばブリ…なんて夢膨らんでいたのに、天候不良、友人の体調不良が重なり全然釣りに行けていない…。もちろん撮影も兼ねているので残念極まりない。
7月こそは…
写真家・松井宏樹
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流氷の見える丘 3

ゴールデンウィークが明ける頃、道東にもようやく桜前線が訪れる。もはや前線なのか最後尾なのかわからないが、鮮やかな色はそれだけで心を満たしてくれる。

ところが、網走周辺にはお花見という文化は根付いていないように思える。昼間の公園や川沿いの土手など、気持ちの良い場所は多くあるにもかかわらず、

酒とつまみで桜を楽しむ人をほぼ見たことがない。せっかく咲いた桜も、あぁ咲いた…あぁ散ったくらいの雰囲気だ。

少し推察してみるとおそらくだが、オホーツクの5月の天候は非常に不安定で、大雪もあれば夏日もありうる。

ゴールデンウィークを越えるまではスタッドレスタイヤは絶対に変えないことからも、5月の連休前後の天候に期待はできない。

当然、雪が降るほどだから寒いし、風が吹けば体感温度はマイナスになる日もある。こんな日にお花見を予定した幹事は、次の日クビにされかねない。

全く読めないオホーツクの天気で一か八かのお花見を計画するような愚か者は、母校の某農大生くらいではないだろうか…。

 

網走のとなり北見市は焼肉の町と言われていて、そろそろ各家庭の軒先で焼肉(北海道ではBBQを焼肉という)を始める季節だ。暖かくなってくると、

物置にしまっていた焼肉セットを出してきて、ホームセンターで新しい網と炭を買いだす。

結局、花より団子。防寒着を着て家の前で炭を囲んで焼肉がオホーツクの春の訪れのように感じるようだ。

これからの季節、北見を訪れる方は週末の住宅地を歩いてみるといい。きっと想像と違う北海道が見られるはずだ。

 

もう暦では1年の半分が過ぎようとしているが、カレンダーではなく生活の変化によって季節が変わっていくことを感じることが、とても楽しい。

ゆるやかに大きな流れの中で人が営んでいく尊さが、ここにはあるきがする。

写真家・松井宏樹
https://www.matsuihiroki.com/

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