年末に話題の「ROMA」を観ました。何が話題って、世界的に有名なアルフォンソ・クアロン監督の映画が劇場で公開されず、Netflixだけでしか観られないってどういうこと?!と半ば切れ気味な映画ファンの間で話題の映画です。(笑)
僕が見たいと思った理由はそうした話題からではなく、「天国の口、終わりの楽園」のような彼の初期の作品を彷彿とさせる、よりローカルな彼のルーツに基づく作品だったからです。
最も印象的だったのは、意外にもその映像です。
特大スクリーンの映写に耐えうる高性能デジタルカメラを使い、モノクロで撮影されたその映像はとてもきれいです。
そして、効果的にシンメトリーの構図を取り入れたりしていて、一つ一つが写真として切り取ったかのような完成度です。
メキシコはアルバレス・ブラボという素晴らしい写真家を生み出した国。3年前に世田谷美術館で大回顧展が開催されたことは記憶に新しいです。そんな小さなつながりを感じながら観ました。
舞台はメキシコの70年代。メイドの女の子の視点でひとつの家族の心の移ろいを描いています。こんな風に書くと、寝ちゃいそうって思われるかもしれませんが、当時のメキシコは、トラテロルコ虐殺事件、オリンピック、メキシコ大地震と近代メキシコ史上大きな出来事が続いた時代です。歴史の断片を織り交ぜながら、メイドの女の子と女主人、女の子とその彼氏、女主人とまだいたずら盛りの子ども達4人、または夫、と二項対立させ、ドキドキはクライマックスまで続きます。
クアロン監督は、ハリウッドでそのエンターテイメント性に磨きをかけ、彼ならではのヒューマンドラマに仕上がったのだと感じました。
秀作です。
Netflix「ROMA」Official site https://www.netflix.com/jp/title/80240715