札幌の方では例年以上に積もっているというのに、オホーツク地方では降っては溶け、降っては溶けを繰り返し、とうとう根雪にならず12月を迎えそうだ。
昼間溶けた雪が日没とともに凍りだし、スケートリンクのような道路が出来上がる恐怖の季節は、毎年憂鬱で仕方がない。
スタッドレスタイヤで磨き上げられた路面は、磨りガラスのような怪しい輝きを放ち運転手のスタミナをじわじわとすり減らしてくる。
一度滑ったら即終了の運転は肩も凝るし心もすり減る。いっその事とんでもないくらい雪が降ってくれればいいのにと、降雪の少ない道東の初冬を憂いている。
網走に住んでいると言うとよく、寒いでしょ?とか雪すごそうだねとか言われるが、実は海沿いの網走は内陸に比べ気温も降雪もさほどではなく、豪雪地域とは言い難い。山も低くスキー場が小さいため、冬の観光といえば2月の流氷が一大イベントになる。それまではこれから来る長い冬を耐えるために、街中がひっそりと準備をしているようだ。
11月初旬に山道でスリップ事故を目撃してしまってから、すっかり遠出の撮影にビビってしまっている。なんでもないように見えたT字の交差点で、凍った下り坂の一時停止を止まりきれず3台の車が脇の薮に沈んでいた。
このままビビったままでは去年の二の舞だと感じ、夜中ホームセンターの凍った駐車場で密かに車を滑らせてはコントロールする練習をたまにしてみたりする。大学生に戻った気分だ。
もちろん紙コップに水を入れていたり、豆腐を積んでいたりはしない。あくまでもしもの場合のためで、本当は滑らないスピードで走るのが一番なのは知っている。
そういえば、東京で暮らしていた時は夏でも冬でも同じようなを履いていた気がする。1年中スニーカーを履いていたし、ちょっと寒くても厚いソックスを履けば間に合っていた。ところが気温がマイナスになり雪が降ってくるとそうも言ってられない。雪国の冬靴問題が発生する。
そもそも、若い頃(10代、20代前半)には暖かい靴を履くという考えすら浮かばなかったし、くるぶし丈のソックスで雪が入っても平気なほど気力があった。
しかし近年真冬でも暖かくて雪にも濡れない万能靴が多くなってきたのだ。
一昔前は裏地のついた防寒長靴が多く、皆一様に現場監督スタイルが多かったが、今ではアウトドアブランドの高性能シューズが主流で、観光の人も地元の人もオシャレ化が進んでいる。
僕はといえば、御多分に洩れずその暖かさと快適さに甘えきっていて、冬は生活にも撮影にも毎日のように履いています。
冬に雪国へ観光、撮影等行く際はタイプ別に分けたほうが無難かもしれない。
主に乗り物を使って移動し、歩行は散策程度の方は紐無しブーツタイプがオススメ。僕も普段の生活にはこれです。
なんといっても着脱が非常に簡単で軽くて歩きやすい。新雪の中をズボズボ歩かなければまず濡れることもないです。
最近はくるぶし丈のちょっとオシャレなものが出ていて、正直真冬の東京などでも大活躍。ただ、人気が高いので他の人とかぶりやすく、特にノースフェイスは二人に一人は履いているのでそこだけは難点かも。
撮影重視の方は歩行生も兼ね備えた紐付きタイプになりますが、登山でもしない限りはハイスペック登山靴は要りません。
歩かなければ正直観光用でもいいくらいですが、積もった雪の中もざくざく歩く方にはKEENの【WINTERPORT Ⅱ】が超おすすめ。
僕も撮影の時はこれを履いていますが、これ以上の靴無いかも…と思うくらい快適です。履き口がゴム紐で絞れるので雪が入らず、暖かくて着脱も容易にできて歩きやすい。
僕はスパッツ、ダウンパンツをブーツの中にインして、防水のカッパを履いて裾のドローコードで靴を覆って履いています。
撮影時の靴はかなり重要な要素になると思うので、ケチらずに用途にあったものを吟味するのが良いかと思います。
来月こそは真っ白な世界で撮影出来るといいなぁ…。
写真家・松井宏樹