空気の力で動くシャッター。ゲルツ コートポケットテナックスのカメラ修理

カメラ修理

今回の修理はドイツのメーカー、ゲルツのコートポケット・テナックスというカメラです。

テナックスといえばツァイス・イコンの招き猫などと呼ばれるカメラがありますが元々はゲルツが先なのです。

さて、ご依頼品は低速シャッターのスピードが変わらないというものでした。

このカメラ、低速シャッターでよく使われているスローガバナーというものがありません。
スローガバナーとはガンギと呼ばれる歯車の抵抗(ジーというやつですね)でシャッターの閉じるスピードを遅くする部品です。

では当機はどうやって低速をコントロールするかというと空気の力を利用しています。
いわゆるエアーダンパーですが、シリンダーの中の空気抵抗をうまく利用して閉じるタイミングを変えているのです。
デッケル社のコンパウンドシャッターと同じ原理ですね。

注意しなくてはならないのはシャッターをチャージしたとき、設定した秒時分待たないと所定のスピードでシャッターを切ることができません。
これは1秒の時はシリンダーが1秒分移動するのでレリーズするときは1秒待たないといけないということです。
(ガンギ車を使ったスローガバナーの場合、チャージするときはガンギが解放されているので大丈夫です)

良いところといえば空気の移動だけなのでスロー時の音が静かということでしょうか。

このシリンダーが固着してしまいスローが全く効いていませんでした。
分解清掃したところ、機能回復することができました。
C.P.goerz berlin
Coat Pocket Tenax (1912年)
シャッター:B、Z、M(1~1/250)
レンズ:Dogmar 10cm f4.5

error: Content is protected !!
タイトルとURLをコピーしました